RIKEN BRAIN SCIENCE INSTITUTE (理研BSI)

記憶を制御する回路をつなげる

2014年5月22日

© 2014 RIKEN

Thomas McHughチームリーダー
脳科学総合研究センター 神経回路・行動生理学研究チーム

いつどのような経緯で理研に入りましたか
1999年にBSIによる初めてのサマープログラムに学生として参加し、その他にも理研に来る機会が数回ありました。その後、新米科学者として独り立ちした私は、大きな興味深い課題に取り組める設備、資金、同僚のいる職場はないかと探していました。そして2009年4月に理研で自らの研究室を開設することになったのです。BSIは研究者が享受できるものを考えれば、ほかに類を見ない研究センターであり、ここで研究できることを光栄に感じています。

理研でのご自身の役どころを教えてください
私の研究室では、脳の回路がどのように作用し、記憶を保存し、整理し、呼び出し、使用しているのかを研究しています。研究室は国際色が豊かで、アメリカ、イギリス、日本、ロシア、フランス、スイス、インド、台湾からの研究者がいます。当研究室の研究者が自身の研究を行えるよう、やる気や充実感を持たせ、かつ整った環境を提供していくことは、私の役割だと思っています。

現在の研究分野に興味を持つようになった経緯を教えてください
大学院に行き始めた20年前から、記憶と学習について学んでいます。複雑な生物学上の疑問について遺伝学的手法を使って解決することに興味がありました。神経科学を学んだことはなかったのですが、アメリカのマサチューセッツ工科大学の二つの研究室による共同研究に加わることになり、遺伝子導入マウスの作成や分析方法を学ぶ、貴重な機会を頂くことになりました。私がしかるべき時にしかるべく場所にいたということでしょうか。

研究者になろうと思ったきっかけはなんですか
私が遺伝学に興味を持ったのは、仲の良い一番上の兄がダウン症だったからです。生物学を学び始めてから、遺伝子が兄の成長や行動に与える影響に興味を持つようになりました。

理研で働く一番の利点はなんですか
アメリカやヨーロッパで研究室を持っている友人間の共通の不満は、継続的な助成金の申請や講義に忙殺され、本来の仕事、つまり研究を主導し、行う時間がほとんどないという事です。しかし、理研では科学に専念し、自分自身の実験を行う時間もあります。これは素晴らしいことです。

個人的な目標、そして仕事での目標を教えてください
例えば毎日研究室に通い、興味のある疑問を意欲的で有能な仲間に尋ねるなど、自分が楽しんでやれることを続けることです。理研での自分の研究室運営にやりがいを感じており、家族も日本で充実した生活を送っていますので、長期的に日本に滞在出来れば嬉しいです。

どのように家族との時間と理研での仕事のバランスを取っていますか
重要なのは理解のあるパートナーと集中力、そして生活において優先順位を付けることだと思っています。私には二人の幼い子供がいますが、私の一日の目標は子供たちが寝る前には家に帰り、少しでも一緒に遊ぶ時間を持つことです。